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《基礎知識》A

『アラブ人、パレスチナ人、イスラエル人ってどう違うの?』(後編)


2003年6月2日

『イスラエル人』はイスラエルに住むユダヤ人(ユダヤ教徒)。それ以外をこの国では『アラブ』と呼びます。その『アラブ』の中でも『パレスチナ人』は占領地に住む、あるいは住んでいたイスラエル国籍を持たないアラブ系住民(イスラム教、キリスト教)。『イスラエリ・アラブ』とはイスラエル国籍を持つアラブ系住民(イスラム教、キリスト教)のことです。

パレスチナ人は1948年のイスラエル国家独立で土地を失いました。その後、近隣諸国のアラブ人たちがイスラエルに戦争を仕掛ける度に、イスラエルは勝利し、占領地を広げ、パレスチナ難民問題を大きくしています。国内にいわゆる『敵性民族』が居住するというとても複雑な事情ができたのはこのためです。

その後、パレスチナ人は領土奪還のため、パレスチナ解放機構(PLO)などの組織を作り、イスラエルに対し武装闘争を開始します。一方、イスラエル人はパレスチナ人からの攻撃に対し、頑強な軍事行動で応戦しています。

「2000年前に住んでいたのはこっちだ!返してもらっただけ」。それに多くの土地はシリアやレバノンに住む大地主から合法的に購入したものだとイスラエル人は主張して引きません。このような状況が50年以上続いています。

さて、多くの日本人に共通の認識として「宗教が絡む諍(いさか)いは絶対に解決しない」、「何千年も続く民族紛争なのだから解決は不可能」というものがあるようです。しかし、実際にはユダヤ人とアラブ人の争いが激化したのは20世紀に入ってからです。かつて両者の関係は『一つのパンを二つに分け合う関係』という表現が示すように、決して今のように悪いものではなかったようです。

イスラエルの警察の監視下に置かれ、礼拝するイスラム教徒のアラブ人たち

このところの戦争で中東問題に興味を持つ人が増えてきていますが、イスラエル・パレスチナ問題に関してはかなり多くの人が認識を改める必要があるのかもしれません。

イスラエル人とアラブ人は宗教、思想、言語、生活様式が違う上に、ここ数十年の殺し合いの歴史と大国の思惑がしがらみ、とても単純化して考えられる問題ではありません。国名すら『イスラエル』という呼称を使うか、『パレスチナ』を使うかで政治的スタンスが変わって来ます。時間も労力も省けるので、問題を単純化して考える事が好まれるのが今の流れかもしれませんが、民族の説明だけでこんなに手間が掛かるのですから、中東問題を認識するにはそれ相応の準備と時間が必要ですね。

今後、そのお手伝いをこの「TTL World Report」が少しでもできれば光栄だと考えている次第です。 

 今日はここまで。

以上


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