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* 以下のレポートは学研『教育ジャーナル』4月号に掲載された作品です
『戦うガザの子供たち』
「ワッチャネー?」、「ワッチャネー?」。眼をクリクリさせた子供たちが興味津々でやって来る。「ワッチャネー?」とはアラブ語風に訛った「What is your name?(あなたの名前はなんですか?)」のことで、パレスチナ自治区のガザを歩けば、間違いなく何度も出会うお決まりの質問だ。
ここではおもちゃカラシニコフ銃も本物に見える
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私はちょっぴり憎らしいけれど、打たれ強くて、へこたれない彼らの“雑草のような強さ”が好きだ。
「写真撮って!」、「お金くれ!」、「あんた中国人?」、答える度に私に群がっている彼らから笑いと歓声が上がり、次の質問がどんどん飛び出てくる。「お前スパイだろ」なんて質問があったりするところはガザらしい。
無邪気に映る彼ら子供たちの生活環境はタフだ。実にほのぼのとした彼らとのこのやりとりも、数十メートル先にいるイスラエル軍の大型戦車『メルカバ』の砲撃とAPC(装甲兵員輸送車)の機関銃掃射の喧騒の下で行われている。今、目の前で投石する子供が撃たれたばかりだ。道の真ん中ではタイヤが燃やされ、もうもうと黒煙を上げている。私を含めたプレス関係者3人は銃声に怖気づいてコンクリート塀の後ろに伏せたまま動けない。
そんな所に10歳くらいの子がやって来て言った。
「ねえ、その腕時計くれない?」
「・・・・・」
『インティファーダ』、アラビア語で「民衆蜂起」を意味する反イスラエル闘争は、別名「石の革命」とも呼ばれ、非武装のパレスチナ一般市民、特に子供がイスラエル軍に投石をするシーンは世界的に有名だ。
パレスチナの子供たちは貧困、紛争、抑圧の中で “必要とされる”ことに飢えている。自分の必要性を示し、家族や仲間、社会からの『敬意』を得たいのかもしれない。
そしてここガザではイスラエル軍に投石をする若者はいつでも “必要とされる”し、自分の身体に爆弾を巻き付けてイスラエルの路線バスを爆破する若者も“必要とされる”。『インティファーダ』は抑圧されるパレスチナ人の若者にとって一種麻薬的な魅力を備えた桧舞台なのだろう。
この地の情勢はより混迷を深めている。問題解決の兆しは一向に見えない。私は今後どれくらいパレスチナ人の子供たちに「ワッチャネー?」と戦場で聞かれ、腕時計をねだられるのだろうか?もう5年?10年?それともそれはイスラム教風に「アッラーのみぞ知る」ということなのだろうか?
ガザより
森口康秀(フォト&レポート/TTLプロジェクト)
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