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『“イスラエル人平和活動家”という名の希望』


イスラエルは中東屈指の高い民主主義レベルを誇る国家だ。国民皆兵制で男性3年、女性2年の兵役義務のある軍事国家ではあるが、イラクのような軍事独裁国家ではない。だから反政府的、反社会的行動をとったイスラエル人や外国人が逮捕されることはあっても、警察署で拷問を受け、謎の死を遂げるようなことはない。ただ、その高い民主主義の恩恵を、ヨルダン川西岸(ウェストバンク)、ガザといった占領地区に暮らすパレスチナ人が受けることはない。

逮捕されたイスラエル人平和活動家たち

1967年の第三次中東戦争でイスラエルに占領された地域に住むパレスチナ人は、民族独立のためゲリラ活動を繰り返す。ハイジャック、誘拐、襲撃、爆破、自爆。イスラエル人はそれらのテロに絶えず怯えながら暮らしている。現在もこの地における『ユダヤ人殲滅』を謳っている過激イスラム武装組織が少なくない。イスラエル政府は自国民を守るために、徹底したテロ封じ込め作戦を遂行中だ。占領地区とイスラエルとの往来をカットする道路封鎖、隔離壁の建設。軍事侵攻、家屋の爆破、武装組織幹部の暗殺。『治安維持』の名の下、様々な人権侵害が占領地区では行われている。パレスチナではテロの封じ込めだけでなく、基本的人権の封じ込めも同時にされているのだ。イスラエル政府はそれらの軍事活動なしでは国家の存続は不可能と考えているようだ。

毎週土曜日、イスラエルの占領地政策に反対する人々がプラカードを携え、占領地に集う。このような絶望的な状況の中でも、ここに小さな『希望』を見つけることが出来る。それがイスラエル人平和活動家たちだ。パレスチナ人たちが自分たちの権利主張や民族独立を掲げて抗議デモをするのと違い、イスラエル人平和活動家の運動は、自分たちイスラエル人を守るために戦っている同胞と対峙しなければならない。それはイスラエル国家の存在否定につながる行為だ。その上、彼ら活動家の殆どが元イスラエル軍兵士でもある。

活動家たちはユダヤ人
入植地の道路を封鎖した

機動隊との衝突で怪我人も絶えない


それでもイスラエル人活動家たちは言う。「国土防衛は国民の義務だ。しかしそれに占領地政策は含まれない」。アラビア語で『共存』を意味する平和活動家グループ『タアユーシュ』のメンバーは「イスラエルはゆっくりとした民族浄化を行っている」と主張する。メンバーらは占領地に続々と建設されるユダヤ人入植地には特に批判的だ。彼らはそれを「この国の癌細胞」と呼んでいる。

デモ活動に参加するのは何もイスラエル人だけではない。イスラエル人平和活動家たちの呼びかけで世界中から集まった有志たちも抗議デモに参加する。『ISM(国際連帯運動)』、『ピース・ナウ』、『グッシュ・シャローム』、『アナーキスツ・アゲンスト・ザ・フェンス』、『クリスチャン・ピース・チーム』、『タアユーシュ』など、私の知るだけでもかなりの平和活動家グループが国際連携を図りながら活動をしている。活動が活発化すればそれだけ軍や警察との衝突も激化する。逮捕者は毎週のように出ているし、アメリカ人女子学生はイスラエル軍の装甲ブルドーザーに巻き込まれて死亡、イギリス人の若者も頭を撃抜かれて現在植物人間状態だ。先日はついにイスラエル人活動家が両足を実弾で打ち抜かれた。活動家とはいえ同胞に対するイスラエル軍の実弾発砲はこれが初めてだという。事態は悪化の一途を辿っている。  

「壁ではなく信頼を築こう」。活動家たちが持つプラカードにはそう書いてある。歴史を振り返ると、1994年、国際的な圧力でパレスチナは自治区を獲得、現地の自治警察には武器も与えられた。しかし今イスラエル人を殺しているのは、イスラエル人自らが“希望”と共に与えたその武器だ。火の粉が降りかからない海外から無責任に平和を説くのは簡単だ。自分たちに高いリスクがあると知りながらも、人間としての権利を守り抜こうとするイスラエル人活動家たち。彼らが「壁ではなく信頼を築こう」というプラカードを持つ時、そこに薄っぺらな平和ボケ思想は感じられない。ある初老の活動家が言った「兵士もゲリラも命をかけて戦っている。我々平和活動家も命をかけることが許されるはずだ」の一言には重みがある。彼らの行動に何らかの希望があると私は信じたい。

「壁ではなく信頼を築こう」


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