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『報道対策』
最近ヘブロンを取材したイスラエル人写真家から気になる事を聞いた。現地のパレスチナ人が報道関係者を村に入れたがらないという。ここへブロンではパレスチナ人農家が近隣のユダヤ人入植地に住むイスラエル人によって連日嫌がらせを受けている。収穫期にはそれが激化するため、国際的な人権団体や平和活動家たちがそれを阻止するため、様々な活動を展開中だ。国内外の報道もこのヘブロンの現状に関しては定期的に取り上げ、パレスチナ人の窮状を伝えている。
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イスラエル側がどんなに報道をシャットアウトしても、パレスチナ側が受け入れを望んでいる限り、我々の動きを完全に阻止することはできない。しかし、パレスチナ人自身が報道を受け入れなくなれば話は別だ。今回のパレスチナ人による『報道関係者受け入れ拒否』の発端は、ある外国人女性カメラマンにあるらしい。彼女が撮影した抗議活動中のパレスチナ人たちの顔が、翌日新聞に載り、それを証拠にイスラエル警察が活動家たちを逮捕してしまったのだという。新聞写真というのは、場所や時間が特定されて掲載されている場合が多いから、逮捕するための証拠として十分成立してしまうのだ。ヘブロンでは当分、写真撮影は出来ないかもしれない。しかし、それは同時にイスラエルに好都合だという事を忘れるべきではない。
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報道写真は被写体にもリスクが高い
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そんなこともあって、ユダヤ人入植地の住民、イスラエル軍や警察もパレスチナ人にばかりに味方する報道関係者が大嫌いだ。彼らは時として我々にも嫌がらせをする。カメラを取り上げたり、行く手を遮ったり、ひどい時には銃を突きつけると聞いたことがある。しかしそんなことをされても報道関係者は、(彼らの表現を借りれば)“ハエのように”現場にたかる。イスラエル側にとっても頭の痛い問題であるに違いない。
先日、カルキリヤという町で抗議デモを取材・撮影中に、投石する小学生が言った「顔はダメ!背中だけならOK」。彼らパレスチナ人も学んでいる。中学生くらいになると顔にスカーフを巻いて、人物特定が出来ないようにして投石の撮影を許可することもある。あのミイラのように顔に巻いたスカーフは飾りではないのだ。
イスラエル軍の報道対策もなかなかのものだ。デイル・バルート近郊の軍事チェックポイントでは平和活動家のデモ隊とイスラエル軍・警察の合同部隊とが衝突をした。AP、ロイター、地元新聞、フリーのカメラマンがその様子を撮影したのだが、イスラエルとしてもこれが世界中に流れるのは問題と考えたのだろう。何しろ丸腰の市民を武装兵士たちが取り囲んでいるのだからイメージ的には最悪だ。だからといってデモ隊を通過させる訳にもいかない。そこで、イスラエル警察がとった行動は意外なものだった。デモ隊は朝から荒野の一本道で抗議活動をしていて、何も食べていない上に、激しい放水まで受けている。既に逮捕者は20人以上。皆クタクタだ。現場を指揮する兵士が大きな箱を持ってデモ隊に近付くと、なんと彼らにチョコレートを配り始めたのだ。これが日本のデモ隊だったら絶対にそんな施しは受けないだろうが、ここは中東だ。過激な平和活動家以外はそのチョコレートを、笑顔でお礼まで言って受け取っていた。世界各国のカメラマンもそれをこぞって撮影。その日デイル・バルートに来ていた報道関係者には親イスラエルのメディアもいるのである。彼らには絶好のショットだったはずだ。おまけにその後は場の雰囲気まで和んでしまい、抗議デモは尻つぼまり的に終了してしまった。食は人を和ませるようだ。
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追い払うだけが脳じゃないし、受け入れるだけが脳じゃない。ここイスラエル・パレスチナでは報道の扱いも刃物と同じで使いようということなのだろう。そんな操作もあるんだと知りながらこのレポートも読んでいただければ光栄だ。
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